がらくた

双極性障害と、本と映画と、日常と、小説ポエム書いて非日常へと。

伊豆の冬景色

今どき、喫茶店の店名が刷ってあるマッチは珍しい。

いわゆる昭和レトロと呼ばれているものが好きな私にとっては、かなりツボである。

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前回までのお話。

 

mongumi.hatenadiary.jp

 

金曜日に病院へ行った。

その前に病院へ行くまでの私のお話。

 

やっぱりあの日も起きれなかった。

心配してくれた父親に2回も起こされる(私の双極性障害について無関心で鈍感だと思っていたのに、この4週間で色々察知してくれて、むしろ、母親より勘が鋭いなと思っている)

相変わらず寝起きは最悪。

薬がなくなるからどうしても行かないといけないという追い込まれる状況ではないと、出掛けなかったのだと思う。

でも、週に一度病院へ行って、今回違うと思ったことは化粧をしようと思ったことだ。

なんだそんなことかと思われるかもしれないが、先週までは起き上がって、うだうだ準備をしていたら、そのうちに出掛ける気力がなくなってしまうのではないかと恐れたので、着替えて帽子を被ってもう出掛けた。

起き上がってから、たぶん1分でもう外にいたと思う。

それがどういうわけか、今日は化粧をしてみようと思った。

 

外へ出て、お腹が空いたので、コンビニにて腹ごしらえ。

イートインスペースでご飯を食べて、コンビニを出たらもうそこで疲労感を感じてしまった。

しかし、ここで家に戻るわけにも行かず、電車に乗り、病院へ。

 

気づけば、一週間ぶりの外出だ。

電車の中で音楽を聴くのが好きなので、スイッチを入れる。

 


Enigma - Return To Innocence

 

シャッフルに設定していたら、一曲目で流れたこの曲。

車窓からは、どこまでも広がる冬枯れの茶色い畑と気持ちの良い青空に、気まぐれに遊ぶ白い雲。

しばらく電車はいくと、富士山が見えた。

富士山もその日は気まぐれで、白い雲でところどころ隠れていたが、それもまた、白い雲とじゃれあっているようで、でも、すっかり山の下まで雪化粧をすっかり終えていて、堂々としていた。

私はなぜか、富士山の姿を見て何度救われたことか分からない。

いつも私のことを堂々と見守ってくれている気がする

だから、伊豆に住んで良かったと思うし、何か特別な事情がない限りはここを離れないと思う。

その車窓からの伊豆の冬景色と、この曲がとても合っていて、鬱だったせいか感情が過敏になっていたせいもあってか、泣いてしまいそうだった。

なんて、美しい世界なのだろうと思った。

前の日までは、少しは外出しなければいけないと思いつつ、でも出掛けても何も楽しいことなんてないと思っていたはずだったのに!

 

これで、私は外出がとても楽しくなった。

もう体調はどこも悪くなかった。

 

病院へ行って、夜になると調子が良くなって寝たくないという話をした。

すると、先生は、寝る時間よりも起きる時間を一定にすることが大切だと言った。

あとは、昼間に動かないから夜眠れないとも言われた。

だが、鬱のときは何もやる気がなく、動けることなんてできないということもよく理解してくれたようで、自分で選択をすることも大事だと言われた。

「今日は休む日にしよう」「今日は少し動いてみよう」

とあくまで自分で決めることが大事らしい。

少し動いてもし次の日、動けなかったとしてもまぁいいかぐらいのぐらいの気持ちでいることが大事らしい。

自分に正直となるという当たり前だが、アダルトチャイルドでもある私は、人の顔色ばかりを窺って、なかなか自分に正直に行動することができない。

自分で選択しないと絶対に誰かのせいにしてしまうとも言われた。

かなり見抜いているなぁと思ってしまった。

 

とにかく、起きる時間を一定にすることと、今日一日の行動は自分でちゃんと決めようと思った。

 

病院を出て、電車に乗るまでの私とは気持ちも身体もすっかり別人になっていた。

そのまま、一人暮らしの家に戻って、必要な荷物を取りに行った。

本当に私は一人暮らしの家を引き払って、この部屋に住むのだろうか?

問題や不安はたくさんあるし、いつもどうしようか考えてはいるが、いつも結論は出ない。

でもどこか、この部屋に住むという決心があって、一人暮らしの家の近所にあるよく行っていた喫茶店で昼食を取る。

 

なんとなく、もうここに行く回数が残り僅かな気がしてしまったからだ。