今日から父親を毒父と呼ぼうと思った
ある日のことだった。
仕事で使うiPadを立てる台が倒れてしまい、父親はそれをなんとかしてほしいと言った。
私はその日、出掛けなければいかなくて、化粧やら準備をしていた。
ドアの向こうで父親が「おねぇー、おねぇー」とずっと叫んでいた。(私は父親からおねぇと呼ばれている。長女で第一子だったから、物心ついたときから、私は周りに「お姉さん」と言ったふうに呼ばれていた)
私はその日も鬱がずっと続いていてイライラしていた。
iPadの台はなんてことなく、すぐにイジれば直る台で、父親は何もできず恐ろしく不器用な人だが、もう70歳を超えているのだし、そのぐらい自分で何とかしてほしいと思った。
私は父親にはっきりとそのぐらい自分で何とかしてと言った。
すると、父親は急に怒り出し
「じゃあいい。もう何にもしてあげない。さっさと一人暮らしの家に帰れ。なんでいるの?もう、頭きた」
とヒステリックに、まるで子供のように叫んだ。
とても、70歳を超えた人のような言い方ではなかった。
たかが、そのぐらいで怒り出す意味がまるで分からなかった。
あと、何もして「あげない」が、すごい上から目線だなと思った。
そういえば、父親に生活保護の紙を書いてほしいと頼んだときも「やってやった」とすごい上から目線だなと思った。
あと、「あげた」と言うが「あなたに何かしてもらった覚えはない」と思った。
本当にワガママな人だと思った。
何でも周りがやってくれていると思って、それが思い通りにならないと癇癪を起す、なんてワガママな人だろうと思った。
「ワガママ」をキーワードにこんな動画を見つけた。
ワガママな人は、自分の記憶を都合の良いように改ざんしてしまうらしい。
この動画の中でDaigoは「ワガママな人って記憶障害なんじゃないの」と少し過激なことを言っていたが、なるほど、すごく当てはまる。
例えば、私が鬱で寝込んでいたときに「まだ寝てる」と言われたのがすごく嫌で、それがきっかけで希死念慮が起きるくらいまで追い込まれたから、それを言わないでと言ったにも関わらず、それから2回も言って、その度に注意したのに、なかなか直してもらえなかった。
歳のせいかとも、今思えば自分に無理やりそう言い聞かせていたが、この動画を見て納得した。
とにかく、父親の場合、注意されたことは記憶から消える。
そして、
「してあげた」という父親の発言が本当にキーワードで、
もちろん、父親のおかげでご飯にありつけたり、電気やらの光熱費も出して貰っているし、住ませてもらっているのは、有難い。
でも、私なりに父親の仕事を手伝ったり、特別定額給付金の申請をパソコンが全くできない父親の代わりにしたりと、全く何もしていないわけではない。
でも、この動画によると、その記憶がなくなってしまうらしい。
そういえば、父親から「ありがとう」や「ごめん」などの言葉を一切聞いたことがない。
「ありがとう」が言えないのは、それをやってもらって当たり前と考えているからだと思う。
やはり、わがままだと思った。
そしてDaigoはこんなふうに言った。
「ワガママな人とは付き合わないほうがいい」
そこで、私は考えてしまった。
この人も毒親だ……。
私は母親が毒親で、もっと言えば双極性障害を作り出した人とも思っているので、一切の交流を断った。
そして、唯一家族で交流があるのが父親だったので、なんとく、甘めに、何か悪いことも見てみないふりをした。
でも、「付き合わないほうがいい」と言われ、今まで自分がなんとなくそう思ってはいたけれど、それをはっきりと言われた気がした。
相変わらず世間は「親を大事にしろ」「親の愛は偉大だ」なんて、洗脳じみたことを言っている。
私はAC(アダルトチルドレン)のプログラムをするときに、母親が毒親であること、母親を大切に思うことを捨てなければいけないことと、認めたくないというか、ショックで何日も鬱状態になって何もできなくなってしまった。
今まさに、父親に対して同じ辛い道を辿らなければいけないと思った。
それから、次の日から、私にご飯は出なくなった。
たぶん、父親が腹いせにやったことだと思う。
もう、毒親だ。
そんなことをしたら、私が謝るとでも思ったのだろうか?
双極性障害という病気で思うように動けない私のことを知っていて、このままだと困るからやったのだろうか?
とにかく、私の弱みにつけこんで、私をコントロールしているように見える。
まさにやっていることが毒親だと思った。
ご飯を出さなくなった単純な怒りはもちろん、ワガママで、毒親だと思った瞬間、もうこの人に関わるのはやめようと思った。
本当は双極性障害ではなくて、自分で稼げる身体だったら一刻も早くこんな家を出たいと思ったが、とりあえず、私の今いる部屋は離れのようになっており、家族の誰とも顔を合わせないので、しばらくこのままでいたいと思う。
とにかく、もう、こいつの仕事を手伝う必要はない。
困っていても助ける必要はない。……だって記憶から消えてしまうのだし。
ずっと父親の仕事を手伝っていたのだが、自立する良いきっかになったのかもしれない。
ただ、こんなふうに焦って仕事を探したりすると良いことがないと自分で分かっているので、1か月ぐらいはのんびりしていようと思った。
どういうわけか、ピンチのときほど、良い知らせというか、運が回ってくる。
幸い、まだ生活保護を貰っているから、(自分がそんなものを貰っていることにものすごく負い目を感じるが)お金の心配をしなくていい。
この文章を書いていて、思い出すだけで、胃がひどく締め付けられる感じがしたが、でも、なんとなく、自由を手に入れた気がした。