がらくた

双極性障害と、本と映画と、日常と、小説ポエム書いて非日常へと。

爆笑問題30周年ライブ「O2-T1」が難解過ぎたので、自分なりに解釈してみる。

 

 

 

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私の一番好きなお笑い芸人の爆笑問題の30周年ライブが昨日の深夜にテレビで放送された。

 

演劇を少しかじった身としては、生で観るのが一番楽しいに決まっているのだが、そのときはお金がなかったのか、体調が良くなかったのか、よく思い出せないが、ともかく観ることができなかった。

ライブが終わってTwitterで観た人の感想を読んでいたら、とても面白かったらしく、やはり行けば良かったと後悔した。

また、Twitterには、テレビやDVDにするのも難しいと思われるネタがあったらしく、観ることができないのではないかと諦めていたので、テレビ放送はとても嬉しく、前日の夜からとてもドキドキしていた。

 

上の画像がその30周年ライブのポスターなのだが、私は中学生の頃から爆笑問題のファンで、もう20年も爆笑問題が好きということになる。

爆笑問題が好きになったきっかけは漫才を観てからだったので、まさかこのライブで漫才は一切せずにコントをやるとは夢にも思わなかった。

もし、生で観に行っていたら、漫才をしなかったことに戸惑いそうな自分がいたので、後でオールコントという情報を知って良かったのかもしれない。

 

そういえば、実は爆笑問題は最初、ウッチャンナンチャンとコント番組をしていたというのを聞いたことがある。

ウッチャンナンチャンのコントのうまさに、爆笑問題は敵わないと思って、ネタ見せを漫才に変えたという話を聞いた。

しかし、爆笑問題のコントも面白くて好きだ。

YouTubeで見たことがあるが、私には漫才のようにゲラゲラ笑うという感じではなかったが、それでもなんだかクスリとしてしまう部分があって、それはそれで好きだ。


爆笑問題 コント「東京の不動産屋」今は見れなくなった貴重なデビュー当時の爆笑問題のコント!昔から太田光のキャラって爆発してる感じがするわw鳥取と島根はひとつの県とみなすってw相互チ

 

このコントは都会の人が田舎者を馬鹿にする感じや、今だったら南青山の児相問題を思い出す。

 

とまぁ、こういった雰囲気のコントがたくさん展開されるのだろうと思って、昨夜観ていたのだが、感想はと言うと、

 

そう、全く訳が分からないものだった。

コントというと、あるシチュエーションで一人がひたすらボケて、もう一人がツッコむと言ったものだと思っていたが、これももちろんこのスタイルだったのだが、コントが5つあって、全部が私の印象としては太田さんがそこまでボケていなくて、むしろ、謎めいたことをたくさん言っていて、それに翻弄される田中さんといった絵図だった。

私の中でコントは何も考えずにただ笑えるものだったのに、太田さんの謎めいた発言ばかりが気になってしまい、これはコントではなく、演劇なのではないかと思ってしまった。

とは言っても、演劇の大学を出たとは言っておきながら、コントと演劇の違いを説明しろと言われても、誰もが納得できる説明はできないのだが、難解すぎる内容を少し自分なりに解釈してみようと思った。

 

以下ネタバレ含みます。

 

 

 

①病院の待合室

病院の待合室の風景かと思ったら、実は病院をコンセプトにした風俗店の待合室だったというオチ。

太田さんが「ここは風俗店の待合室だろ!」と指摘されたときの田中さんの否定した感じが、田中さん本人は、本当にここは病院だと思って来たんだという演技に見えた。

風俗店に来てしまった恥ずかしさで否定しているのか、本当に知らなくて来てしまったのか、よく判断がつかなかった。

ここはもう一度ちゃんと観てみたい部分だなと思った。

実は後者だったとしても、国が一番馬鹿なDNAを探しているので、説明が実はついてしまう。

で、未だに分からなかったのが、太田さんのスマホに時々掛かってくる電話の相手。

その相手はタイムスリップしているらしく、平成の元号が変わったときにいたり、地下鉄サリン事件のときにいたり、9.11のときにいたりしている。かと思えば、15代目J soul Brothersが現れたりして、どうやら未来にもいるらしい。

電話の相手が今、こういう状況だと説明しても、太田さんは驚く様子もなく「ほう、そうか。気をつけてな」と言って電話を切る。

太田さんは別に驚く様子もなく、淡々としている。

でも、電話の相手はどこか、過去に起きた事件のことは初めて遭ったといった雰囲気に感じる。

むしろ、このコントの設定が現代ではないのかもと疑ったが、太田さんはスマホを持っているので、現代かそれより先の未来の設定ということになる。

この電話は実はコント自体がタイムスリップしているので、それを暗示させるような効果を狙ったのかもしれないが、結局、電話の相手は誰で、どうして太田さんにそんな電話をするのか、種明かしはされないままだった。

 

②数字男

実は人間の廃棄処理場へ向かうロケットの中だったというオチ。

後々になれば、ここでどうして田中さんは廃棄処理されなければならないのかということを観客に考えさせるようにできていた。(私は観ていたこの時点で内容を追い掛けるだけで精いっぱいだったので、気付かなかった)

そして、最後の爆チュー問題までの4つのコントは、実は太田さんは同一人物だったのだが、このコントも同一人物だったのかがよく私には分からなかった。ここももう一度見たい。

田中さんの賭け麻雀ネタとか、爆笑問題カーボーイというラジオを聞いていて、よくそれをネタにしていたから、笑えたが、そのネタを知らないと意味が分からない人がいるのではないかと思った。

 

③二人の兵士

太田上田という番組で太田さんが「未来の人間から見て、今の時代の人間が一番インターネットの使い方が野蛮だったって言われる時代が来ると思う」と発言したのを思い出したコントだった。

結局、二人の兵士が戦っていたのは、インターネットでの匿名での醜い罵り合い、炎上だった。

最後の爆チュー問題のコントで人間が滅亡したという話になるが、その滅亡した理由がこれだったのだと思う。

戦争ではなくて、匿名のインターネットでの殺し合いで人間は滅亡するかもしれないという、少し面白いメッセージを感じた。

そして、田中さんは戦場までの記憶がなくなっている。

この理由もはっきりと分からなかった。

誰かに記憶を消されてしまったのか、それとも馬鹿な遺伝子の持ち主だから忘れてしまっているのか。

このコントが一番、色々なことを説明してくれた。

田中さんが①のコントのことを思い出したり、太田さんがセリフで「あのときマスクを外さなければ」「俺の中に小さなお前がいる」と聞いたときは何を言っているのか全く分からなかったが、全ての伏線を回収しようとしていたセリフだったのだなと納得。

 

④医者と患者

国が生物兵器を作ろうとしていた。

その生物兵器とは、感染した人間は全て、何も考えない馬鹿にさせようというものだった。

それを作るには実際にいる馬鹿な人間の遺伝子が必要で、その馬鹿な遺伝子に田中さんが使われたということが分かる。

とここまで解釈できたのに、一晩も掛かってしまった。

そして、何も考えないということが一番恐ろしいことなんだというメッセージが、なんだか太田さんらしいなと思った。

そして、太田さんはその生物兵器に感染される。

遺伝子は田中さんの遺伝子なので、田中さんが発言しそうなことを言う。どうやらこれが感染が始まったサインらしい。そしてふと我に返り、「だめだ。感染が始まっている。しっかりしなきゃ」と言うも、また田中さんになってしまう。田中さんになったり、ふと我に帰ったりする演技が、観ているこっちとしてはとても面白いし、冷静に見れば相方のモノマネをしているだけでくだらないのだが、なぜだかそこに熱演というか、バカバカしいはずなのに演技に釘付けになってしまった。

 

時系列をまとめる

最後が爆チュー問題なのだが、その感想を書く前にこの4つのコントの時系列を考えたい。

やはり私は前もって全てのコントが、繋がっていると聞いていたので、その知識があったのにも関わらず、観終わったあと、なんとなく繋がっているのは分かったが、どう繋がっているのかがはっきりと分からなかった。

で、色々と考えたのが、この4つのコントの時系列がバラバラだったということに気付いた。

起こった順に並べるならば、

①で田中さんのDNAを採取される。

④で生物兵器がバラ撒かれる。

③で生物兵器に感染された人間による戦争

生物兵器の元になった田中さんを廃棄処理する

これに気付くのにもだいぶ考え込み、時間が掛かった。

実は②の最後に田中さんが踊り出すという時間があるが太田さんは後にラジオで「衣装を変えるために長い暗転が嫌だったから入れた」と言っていたが、時系列をバラバラにしたのは、長い暗転を避けるためにやったものなのか、それとも別の意図があったのか、これもまた謎である。

時系列通りにやったほうが、観ているほうはもっと物語の繋がりが瞬時に分かるのにとも思うが、実は統一性のないコントが全て繋がっていたと簡単に分かってしまうのを避けたかったのかもしれないと考えている。

 

爆チュー問題

ポンキッキーズでやっていたのをリアルタイムで観ていたので、また観れるのはとても嬉しかった。

ポンキッキーズでやっていたのは、子ども向けだったので、ネズミのたなチューが人間の物を拾ってきて、これはどう使うのだろうとあれこれと考えるコントだったのだが、そういう色は完全に消していた。

どうやら、生物兵器の実験台として、田中さんの遺伝子を注射されてしまったたなチューが、実験場から逃げ出してしまう途中に、人間に感染させてしまったという、全てのコントの始まりだった。

しかし、家に戻ってきたたなチューが会ったぴかりと思われる人物は、どうやらぴかりの子孫だった。

どうやらたなチューはタイムスリップしてしまったらしい。

なぜ、たなチューはタイムスリップしてしまったのかやはり分からないので、もう一度観たい部分だと思う。

そして、「でたらめな歌」を歌い、うる覚えなのだが、ぴかりは「でたらめなんだよ」もしくは「でたらめでいいんだよ」と言って、全てのコントは終わる。

人間はでたらめだという強いメッセージ性を感じる。

 

 

まとめて気付いたのは発想の自由さに圧巻

とここまで書いて思うのが、ただ笑っているだけでいいコントと思って観てしまうと、実はよくできた演劇なのではないかと錯覚してしまう。

シュチュエーションも全てバラバラなものをよく全部繋げ、観ている人の想像を頭をフルに働かせるようにしなければ、全く何が起きているのか分からない。

太田さんの空想力や発想力、この人の頭の中はどうなっているのかととても思い知らされたものだと思った。

爆笑問題はよく時事ネタを漫才に扱っているが、以前太田さんは別に漫才を通してメッセージ性なんてないとは言ってはいたが、このコントも果たしてそうなのだろうか?

メッセージ性はなく、ただ自分の空想を広げたかっただけなのだろうか?

このコントを観て、なんとなく万人が絶賛するものではない気がしてきた。

それはファン歴20年の私ですら、観た後に全く理解できない部分があった「分かりにくさ」の点で万人に受けるものではない気がしてきた。

ただ、私は熱狂的な爆笑問題のファンなので、その分かりにくさを自分なりに分析したりするのが好きで、自分なりの結論を出したときに太田さんの頭の中の凄さに感動すら覚えてしまうである。

本当に自由な発想を持っていてうらやましい。

 

そして、私もこんな脚本を書けないものだろうかと考えてしまう。

何物にも縛られない私の自由な発想の、脚本を書きたいものだ。