がらくた

双極性障害と、本と映画と、日常と、小説ポエム書いて非日常へと。

樹木希林の暮らしぶりについて

樹木希林の訃報を聞いて、メディアで彼女がたくさん取り上げていて、生前の彼女の様子を聞く機会が多い。

個人的には、旦那である内田裕也が酔って帰ってきて暴れそうになったときに、鉄パイプで応戦しようとした話が好きだ。
芸人のように大声で話したり、テンションを高くして話すのではなく、それをまた静かに淡々と語るものだから、芸人の話し方に食傷気味だったから新鮮に感じたのか、それとも彼女の実は緻密な話し方のおかげで、とても印象に残っている。

ネットで読んだ話ではあるが、彼女は共演女優にはとても厳しいという話を聞いたことがある。
その厳しさにみんな挫けてしまうのらしいが、それに付いてきたのが江角マキコだけと聞いたときは、もし自分だったらとてもダメだろうなぁと、役者を志していた者として考えてしまう。

でも、彼女の生き方が好きだ。

共演はきっとできないだろうが(意味のない想像だが)
たぶん今年だったと思うが、ぴったんこカンカンで彼女が出演したときの服装を鮮明に覚えている。
黒のジャケットに黒のパンツ、スーツのように一見見えて、下に白いシャツを着ていた。
シンプルな服装が好きな私は、とても素敵だなと思った。
ところが、その服装について聞いてみるとびっくりした答えが返ってきた。
婿養子である本木雅弘の洋服を貰い、自分のサイズに合うように調節したらしい。
中のシャツも理由は忘れてしまったが、引きちぎっていて、その引きちがれ破れた部分が、そういうデザインなのかと思ってしまった。
また、彼女はリリー・フランキーが着ていた男物のスーツも素敵だと思い無理を言って貰ったらしい。
ファッションを自由に着ているのがとてもいいなと思った。
そしてそれがとても彼女に似合っているから、尚更素敵だと思った。
自分が良いと思ったものは取り入れて、そしてもっと自分に似合うように手を加えていくのが、恥ずかしながら自分のことを言うと、同じ考えだったから更に好感を持てた。

彼女の暮らしぶりも好きである。
癌になってしまった彼女は、自分の死への準備として物を持たないようにしたらしい。
靴も雨用の長靴に、ハイキング用のスニーカー、黒とベージュと赤の靴、これはヒールかなと思う。
それしか持っていないらしい。
物を多く持ちたくない私としてはとても考えが同じでまた嬉しい。
ここからは私の考えであるが、洋服を始めとして物を持っている人が多いなと思う。
話を聞くと数ある洋服も買っても一度きりしか着なかったり、それはまだ良い方で一度も着ないということもある。
私は物が溢れかえってしまうとどうも落ち着かないので、持ち物は最小限にしたい。
そして例えば洋服だったら、買うときは着回せて本当に気に入ったものを買う。
買ったからには愛着を持ちたいのだ。
彼女は洋服はボロボロになるまで着るとも言っていた。
本当に私も同じ考えで、捨てるときは本当に悩んでしまう。

彼女の暮らしぶりの質素で、でもシンプルというのもとても好きだ。
これは芸能人にしてはというより、私たち一般人でもしないような質素さだ。
石鹸はひとつだけ。
これで、洗濯や食器洗い、そして自分の体を洗うらしい。
今の世の中でこういう生活をしている人はどのくらいいるのだろうか。
そして髪は洗わないらしい。
仕事で整髪料などを付けたときは床屋に行っているらしい。
美容院と言わずに床屋と行ってしまうところが、なんだか彼女らしい。
美容院だとなんだか気が落ち着かず、男たちに混じって床屋にいる彼女の姿を思わず想像してしまう。
そしてまた、床屋に彼女がいても違和感なくその中の雰囲気に溶け込んでいそうだ。
仕事のたびに床屋に行くなんて、私たち一般人からすればそこまでいちいちお金は掛けてはいられないからまねはできないが、でもなんだか良いお金の使い方だと思ってしまう。
そういえば彼女は、バラエティーに出るときは化粧をしていないように見える。
髪も白髪を一切隠さず、その白髪が混じった髪には艶がない。
75歳の女優でこんな姿で登場しているのは彼女だけだと思う
でも、こんなにナチュラルなのに素敵とさえ思えてしまう。
彼女は決して美人というわけではないのに、なぜだろうと思う。
私がよく思うのは、結局ナチュラルで自然体な姿が一番なのだと思う。
化粧で綺麗になるかもしれないが、私はナチュラルな自分が最近では好きだ。
こういうスタイルの私が他人から見てどう思われているかは知らないが、しばらくはそのスタイルでいたいと私は思う。

そして彼女は朝起きたらまずは掃除をするらしい。
なんだか日常をとても大切にしているのがとても好きだ。
見習いたいが、体調が不安定でお手洗いに行くのがやっとというくらい体調が悪い私にはできないことだ。

そして最後に、彼女への病気への姿勢だ。
楽しむのではなく、面白がる。
彼女は癌になって良かったとさえ言ってしまったのだ。
また、これを今の自分に置き換えて考えてみる。
残念ながら、私はこれだけには共感できない。
自分の病気に対してなって良かったとは一度も思ったことはなく、鬱で苦しいときはいつも「もし自分が病気になっていなかったら…」ということをずっと妄想していて現実逃避をして鬱の苦しみをいつも紛らわせていた。
だから、こんな状態の私にとても今は病気に感謝することなんてできない。
面白がることは、もしかしたら病気になったばかりのときは面白がろうと思って、ポジティブに考えていたのかもしれない。
でも、この病気になって10年経ち、失敗して何度も立ち上がろうとしたが、全て失敗してしまい、今は正直頑張ろうという気持ちはなくなってしまったし、ましてや面白がる気持ちなんてなくしてしまった。
そしてネガティブでひがみっぽい性格の私はこうさえ思ってしまう。
確かに彼女は失明や癌で苦しんできたかもしれない。でも、女優として成功しているじゃないか。
私はマイナスなことだらけで、何一つ成功していない。
だから、私に比べたら彼女の悲劇なんてどうってことないと思ってしまう。
不幸を比べることはできないと昔は思っていたが、精神状態が今どん底にある私はこういう考えしかできない。
こんな私の考えをもし彼女が聞いたらどう思うのであろうか。

ご冥福をお祈りします。

追伸。
久しぶりにこんなに長い文章を書くととても疲れてしまいますね。
久しぶりに文章を書きたい気持ちになって書いたのに。
これで、小説家志望だったりするので大丈夫だろうかと心配になってしまう。
長文を書く体力が欲しいのだが、それはどうやって鍛えるのか教えて欲しい。